「ドライフードは手軽だけど、愛猫の水分不足が心配…」
「ウェットフードの方が健康に良さそうだけど、コストも手間もかかるし…」
キャットフード選びで、「ドライフード vs ウェットフード」に悩んでいませんか?
特に、尿路結石や毛玉のリスクを抱えやすいノルウェージャンフォレストキャットの飼い主さんにとって、この悩みは切実です。
もし、その両方の「良いとこ取り」ができて、愛猫の健康リスクを賢く管理できる方法があるとしたら…?
この記事は、そんなあなたのための「ミックスフィーディング」完全ガイドです。
ミックスフィーディングとは、ドライフードとウェットフードを効果的に組み合わせる食事戦略のこと。
この記事を読めば、
- なぜ、ミックスフィーディングが有効なのか?(水分補給・毛玉ケアへの効果)
- 具体的なやり方は?(難しそうなカロリー計算も、ステップ式で分かりやすく解説!)
- 失敗しないための注意点は?(フードの選び方から、保存方法まで)
といった、あなたが抱えるであろう全ての疑問が解消します。
もう、フード選びで迷う必要はありません。
この記事で、愛猫の健康寿命を延ばすための、最も賢明で愛情にあふれた食事プランを、今日から始めてみませんか?
- ミックスフィーディングの有効性について
- 実践する上でのリアルなメリットと、知っておくべきデメリット
- 初心者でも安心!失敗しない具体的なやり方(💡ミックスフィーディング自動計算ツール付き💡)
- フードの切り替え方や保存方法など、導入・継続のための注意点
- 子猫やシニア猫への応用方法と、年代別の調整ポイント
ミックスフィーディングは必要?その有効性とは?


ドライフードとウェットフード、どちらを選ぶべきか――。
それは「併用(ミックスフィーディング)」こそが、ノルウェージャンフォレストキャットにとって、非常に有効な食事管理法である、ということです
なぜ、「おすすめ」ではなく「有効な食事管理法」とまで言えるのでしょうか?
その理由は、ミックスフィーディングが、猫特有の体質ゆえに抱えやすい「3つの健康リスク」に対し、ドライフードとウェットフードそれぞれの利点を最大限に活かすことができる、効果的なアプローチだからです。

まずはノルウェージャンフォレストキャット特有のリスクと、各フードタイプの特性を深く掘り下げていきましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットが抱える「3大リスク」(肥満・泌尿器・毛玉)
穏やかで美しいノルウェージャンフォレストキャットですが、その素晴らしい個性と体質は、同時に特定の健康リスクと隣り合わせでもあります。
ミックスフィーディングの重要性を理解する上で、まずこれらのリスクを正しく認識することが不可欠です。
- 肥満リスク:
- 大型種であり、特に避妊・去勢手術後はホルモンバランスの変化により、基礎代謝が低下し太りやすい傾向にあります。
肥満は、ただ見た目が変わるだけでなく、関節への過剰な負担、糖尿病の発症リスク上昇、心臓への負担増など、様々な深刻な健康問題を引き起こします。
- 大型種であり、特に避妊・去勢手術後はホルモンバランスの変化により、基礎代謝が低下し太りやすい傾向にあります。
- 泌尿器リスク:
- 猫はもともと飲水量が少ない動物であり、尿路結石などの泌尿器系疾患は猫全体の大きな悩みです。
ノルウェージャンフォレストキャットはその大きな体格ゆえに、健康維持に必要な水分量も他の猫種より多くなります。
室内飼育環境と、主食となりがちなドライフード中心の食生活は水分不足に陥らせやすく、尿が濃縮され、結石ができやすい体内環境を作り出してしまいます。
- 猫はもともと飲水量が少ない動物であり、尿路結石などの泌尿器系疾患は猫全体の大きな悩みです。
- 毛玉リスク:
- ノルウェージャンフォレストキャットはグルーミングの際に他の長毛種よりもさらに多くの毛を飲み込んでしまいます。
飲み込んだ毛は便と一緒に排泄されますが、量が多い場合や、便秘気味の場合、胃や腸で毛が絡まり塊となってしまう「毛球症」を引き起こしやすくなります。
毛球症は、嘔吐や食欲不振だけでなく、重症化すると腸閉塞など命に関わる状態を引き起こす可能性もあります。
- ノルウェージャンフォレストキャットはグルーミングの際に他の長毛種よりもさらに多くの毛を飲み込んでしまいます。
ドライフードとウェットフード、それぞれの「メリット」と「デメリット」
ドライフードとウェットフードは、それぞれ得意なことと不得意なことがあります。
その特性を正しく理解することが、ミックスフィーディングの選択に繋がります。
ドライフードのメリット・デメリット


ドライフードは、保存が容易でコストパフォーマンスが良く、開封後も比較的長持ちし、置き餌も可能です。
硬い粒を噛むことで歯石の付着を抑制する効果も期待できます。
カロリー密度が高く設計されているため、少量で効率的にエネルギーを摂取でき、体重維持期のノルウェージャンフォレストキャットには管理しやすい側面もあります。
| ドライフードのメリット | ドライフードのデメリット |
|---|---|
| 保存が容易でコストパフォーマンスが良い 歯石の付着を抑制する 少量で効率的にエネルギーを摂取可能 | 水分含有量が約10%と極端に低い 慢性的な水分不足を引き起こしやすい 炭水化物の割合が高くなりがち |



猫は、もともと積極的に水分摂取する生き物ではないので、飼い主が意識的に管理する必要があります。
👇️水分摂取のコツはこちらの記事を参考にしてください👇️


ウェットフードのメリット・デメリット


ウェットフードは、水分含有量が75%以上と非常に高く、食事から自然に、そして大量の水分を摂取できること。
これが泌尿器ケアにおける最大の強みです。
また、肉や魚の香りが強いため嗜好性が高く、食欲が落ちている時でも食べてくれやすいです。
| ウエットフードのメリット | ウエットフードのデメリット |
|---|---|
| 水分含有量が75%以上と非常に高い 大量の水分を摂取できる 嗜好性が高く、食欲増進につながりやすい | コストが高い 保存が難しい 歯石の原因となる可能性 |
ドライフード、ウェットフードにはそれぞれメリットは多いものの、健康面においては致命的なデメリットがあることも事実です。



ミックスフィーディングをすることで、それぞれの弱点を補い健康維持に役立てていきましょう。
ミックスフィーディングが、ノルウェージャンフォレストキャットの弱点を補う理由
ドライフードとウェットフード、どちらか一方だけでは、ノルウェージャンフォレストキャットの健康リスクに完全に対応することは難しいのです。
しかし、両者を組み合わせる「ミックスフィーディング」であれば、それぞれの長所を活かし、短所を補い合うことができます。
最大のメリットは、ドライフードの「水分不足」という弱点を、ウェットフードで補えることです。
これにより、ノルウェージャンフォレストキャットが特に注意すべき泌尿器リスクを、他のどんな方法(水をたくさん置くなど)よりも効果的に、そして自然な形で低減できます。




さらに、ウェットフードの高い嗜好性は食欲増進に繋がり、食欲が落ちやすいシニア期や、病気の回復期にも大きな助けとなります。
ウェットフードは一般的にドライフードよりも低カロリーで満腹感を得やすいため、適切なカロリー計算のもとで行えば、体重管理にも非常に有効な戦略となります。
食物繊維が豊富なウェットフードを選べば、毛玉ケアの補助としても機能します。
ドライフードの利便性とコストメリットは活かしつつ、ウェットフードで健康リスクを効果的に管理する。



両方の良いとこ取りができるミックスフィーディングこそ、健康寿命を最大限に延ばすための、最高の食事管理法と言えるでしょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの視点でミックスフィーディングを徹底解剖


ミックスフィーディングが愛猫の健康を守るための食事管理法であることをご理解いただけたかと思います。
しかし、実際に始める前に、その具体的なメリットとデメリットの両方を、ノルウェージャンフォレストキャット特有の視点も交えながら、把握しておくことが重要です。
水分補給、体重管理、嗜好性向上…ノルウェージャンフォレストキャットが得られる恩恵
ミックスフィーディングを実践することで、ノルウェージャンフォレストキャットは以下のような、健康に関わる大きな恩恵を受けることができます。
- 圧倒的な水分補給効果 → 泌尿器リスクの低減:
- これが最大のメリットです。
ウェットフードを加えることで、食事から自然に、そして確実に水分摂取量を増やすことができます。
これにより、尿の濃度が薄まり尿路結石のリスクを効果的に低減します。
- これが最大のメリットです。
- 満足感向上による体重管理サポート → 肥満リスクの低減:
- ウェットフードは一般的にドライフードよりも低カロリーで、水分量が多いため満腹感を得やすいです。
適切なカロリー計算のもとで行えば、食事全体の満足度を高めつつ、総摂取カロリーをコントロールしやすくなり、肥満予防に繋がります。
- ウェットフードは一般的にドライフードよりも低カロリーで、水分量が多いため満腹感を得やすいです。
- 嗜好性の向上 → 食欲不振時の対策に:
- 香りが強く嗜好性の高いウェットフードは、ドライフードだけでは食が進まない時や、食欲が落ちやすいシニア期、病気の回復期などに非常に有効です。
- 毛玉ケアの補助 → 毛玉リスクの低減:
- ウェットフードの高い水分含有量は、便通をスムーズにする効果も期待できます。
これにより、グルーミングで飲み込んでしまった毛が便と一緒に排出しやすくなる可能性があります。
食物繊維が豊富なウェットフードを選べば、さらに効果的です。
- ウェットフードの高い水分含有量は、便通をスムーズにする効果も期待できます。
- 将来への備え → 療法食へのスムーズな移行:
- 子猫のうちから様々な食感や味に慣れさせておくことで、将来、病気(腎臓病など)で療法食(特にウェットタイプ)が必要になった時にも、抵抗なく食べてくれる可能性が高まります。
これは、愛猫の治療の選択肢を広げることに繋がります。
- 子猫のうちから様々な食感や味に慣れさせておくことで、将来、病気(腎臓病など)で療法食(特にウェットタイプ)が必要になった時にも、抵抗なく食べてくれる可能性が高まります。



これらのメリットは、ノルウェージャンフォレストキャットが抱える特有の健康リスクに直接的にアプローチし、健康寿命を延ばす上で、非常に大きな価値を持ちます。
コスト増、手間、「カロリー計算」という必須スキル
ミックスフィーディングを実践するには、飼主側にも相応の覚悟と努力が必要です。
特に以下の3点は、始める前に必ず認識しておくべきデメリットと言えるでしょう。
- コストの増加:
- 一般的に、ウェットフードはドライフードよりも価格が高いため、毎日の食事に取り入れると、食費は確実に増加します。
特にノルウェージャンフォレストキャットのような大型猫では、その負担は小さくありません。
- 一般的に、ウェットフードはドライフードよりも価格が高いため、毎日の食事に取り入れると、食費は確実に増加します。
- 手間と管理の複雑さ:
- ウェットフードは開封後の保存(冷蔵必須、早めに使い切る)に手間がかかります。
また、ドライとウェット、2種類のフードの管理や、給与の準備も、ドライフードのみの場合より複雑になります。
- ウェットフードは開封後の保存(冷蔵必須、早めに使い切る)に手間がかかります。
- 正確な「カロリー計算」が必須:
- これが最大のハードルかもしれません。
ドライとウェット、それぞれのカロリーを正確に把握し、愛猫の1日の必要カロリーを超えないように、厳密な給与量計算を行う必要があります。
これを怠ると、せっかくの健康効果も台無しになり、かえって肥満を招く危険性があります。
- これが最大のハードルかもしれません。
これらのデメリットは、決して無視できるものではありません。
しかし、「正しいやり方」を学び、実践すれば、しっかりと食事管理をすることができます。
失敗しない!ミックスフィーディングの具体的な「やり方」


ミックスフィーディングの重要性とメリットをご理解いただけたところで、いよいよ具体的な実践方法を学んでいきましょう。



カロリー計算って難しそう…
最も面倒なステップを、一瞬で解決する「専用の自動計算ツール」をご用意しました。
【一番かんたん】ミックスフィーディング自動計算ツール
あなたの愛猫の体重と、与えたいフードの情報を入力してみてください。
1日に必要な給与量(ドライ何g、ウェット何g)が自動で計算されます。
- 愛猫の体重(kg)
- 猫の状態(例:避妊・去勢済みの成猫)
- 与えたいドライフードの「100gあたりのカロリー(kcal)」(パッケージに書いてあります)
- 与えたいウェットフードの「100gあたりのカロリー(kcal)」(パッケージに書いてあります)
- ドライフード:ウェットフードの割合(%)(例:半々なら「50」、トッピング程度なら「20」など)
手動での計算方法(計算ツールの裏側)
「カロリー計算」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、以下のステップを踏めば誰でも簡単に行えます。
まず最初に、あなたの愛猫が1日に必要とするエネルギー量(カロリー)を知る必要があります。
これをDER(Daily Energy Requirement:1日あたりのエネルギー要求量)と言います。
DERは、以下の2つのステップで計算できます。
- 安静時エネルギー要求量(RER)を計算する
RER(Resting Energy Requirement)とは、猫が安静にしている状態で生命維持に必要な最低限のエネルギー量です。
以下の計算式で求められます。
RER (kcal/日) = 70 × (体重kg)の0.75乗
(例:体重5.0kg 電卓で計算する場合)
「5.0」と入力
「xy」ボタンを押す
「0.75」と入力
「=」ボタンを押す(この時点で「3.34…」と表示されます)
続けて「×」ボタンを押す
「70」と入力
「=」ボタンを押す
結果: 約 234.05 (kcal) となります。 - 活動係数をかけてDERを計算する
RERに、猫の年齢や活動レベルに応じた「活動係数」を掛けることで、DERが算出されます。
DER (kcal/日) = RER × 活動係数
| 猫の状態 | 活動係数 |
|---|---|
| 避妊・去勢済みの成猫 | 1.2 |
| 未避妊・未去勢の成猫 | 1.4 |
| 肥満気味・減量中の猫 | 0.8~1.0 |
| 活発な猫・妊娠中の猫 | 1.6~2.0 |
| 成長期の子猫(生後4ヶ月まで) | 3.0 |
| 成長期の子猫(生後4ヶ月~1年) | 2.0~2.5 |
| シニア猫(7歳以上、活動量低下) | 1.0~1.2 |
体重5.0kg、避妊手術済みの成猫の場合
RER = 70 × (5)^0.75 =234 kcal/日
DER = 234 kcal/日 × 1.2 = 281 kcal/日



あなたの愛猫のDERを計算してみましょう。
これが、全ての給与量計算の基礎となります。
ちなみに、「ドライフード(またはウェットフード)単体」で与える場合の1日の総給与量(g)は、こちらのシミュレーターで簡単に計算できます。
次に、1日の総カロリー(DER)のうち、ドライフードとウェットフードを、それぞれどのくらいの割合(カロリー比率)で与えるかを決めます。



この割合に絶対的な正解はありません。
- ウェット多め(例:ウェット2/3、ドライ1/3):
- 水分摂取量を最大限に高めたい、泌尿器系の健康を最優先したい場合。コストと手間は最もかかります。
- 半々(例:ウェット1/2、ドライ1/2):
- 水分補給効果と、ドライフードの利便性のバランスを取りたい場合。最も一般的なミックスフィーディングの形です。
- トッピング程度(例:ウェット1/4、ドライ3/4):
- コストや手間を抑えつつ、嗜好性を高めたり、少しでも水分補給を増やしたりしたい場合。
あなたの目的やライフスタイル、そして愛猫の好みに合わせて決めましょう。
DERと割合が決まったら、いよいよそれぞれのフードを具体的に何グラム与えれば良いかを計算します。



ここがミックスフィーディングの最も重要なステップです
- 各フードで摂取するカロリーを計算する
DER × 各フードの割合(%) = 各フードから摂取するカロリー
【計算例】 DERが281kcal/日、ドライ:ウェット=50%:50%の場合
ドライフードから摂取するカロリー: 281 kcal × 50% = 140.5 kcal
ウェットフードから摂取するカロリー: 281 kcal × 50% = 140.5 kcal - 各フードの1gあたりのカロリーを確認する
与えたいドライフードとウェットフードのパッケージに記載されている代謝エネルギー(ME)を確認します。
「〇〇 kcal / 100g」と書かれていることが多いです。
【例】]ドライフードA: 400 kcal / 100g → 1gあたり 4.0 kcal
ウェットフードB: 80 kcal / 100g → 1gあたり 0.8 kcal - 各フードの給与量(グラム)を計算する
各フードから摂取するカロリー ÷ 各フードの1gあたりのカロリー = 各フードの1日の給与量(g)
【計算例】 上記の①②の例の場合
ドライフードAの給与量: 140.5 kcal ÷ 4.0 kcal/g ≈ 35 g
ウェットフードBの給与量: 140.5 kcal ÷ 0.8 kcal/g ≈ 176 g
つまり、この猫には1日にドライフードAを35g、ウェットフードBを176g与えれば良い、ということになります。
ウェットフードの中には「一般食」と呼ばれる、主食にはできないものもあります。
必ず「総合栄養食」と記載されたウェットフードで計算してください。



この面倒な計算を、冒頭のツールが全て自動で行ってくれます。
最後に、計算した1日の給与量を、どのようなスケジュールで与えるかを決めます。
猫の好みや飼主さんのライフスタイルに合わせて考えましょう。
- 朝ウェット・夜ドライ(または逆)
- メリット: 準備が比較的シンプル。朝晩で違う味を楽しめる。
- デメリット: 置き餌をする場合、ウェットフードは傷みやすい。
- 例: 朝にウェット176g、夜にドライ35gを与える。
- ドライ主食+ウェットトッピング
- メリット: 手間が最も少ない。嗜好性アップや水分補給の補助として手軽に始められる。
- デメリット: ウェットの量が少ないと、水分補給効果は限定的になる。
- 例: 1日分のドライ35gを置き餌にしつつ、夜にウェット50g(例)を「ご褒美」として与える(※この場合、ウェットのカロリー分、ドライを少し減らす調整が必要)。



どのモデルを選ぶにしても、食事の時間をなるべく一定に保つことが、猫の体内リズムを整え、消化を助ける上で重要です。
【注意点】ミックスフィーディング導入と継続のコツ


カロリー計算と給与スケジュールが決まったら、いよいよ導入です。
しかし、ここで焦ると愛猫のお腹を壊したり、せっかくのウェットフードを食べてくれなかったりする原因になります。
ここでは、スムーズな導入と、無理なく継続するための「コツ」をご紹介します。
キャットフードの切り替えは10日間かけて行う
現在ドライフードだけを与えている場合、急にウェットフードを混ぜ始めると、お腹がびっくりして下痢をしてしまうことがあります。



新しい食材(ウェットフード)に消化器官を慣らすため、最低でも7日~10日間かけて、ゆっくりと移行させることが重要です。
1日の総給与量のうち、ウェットフードの割合を10%程度にします。(例:ドライ9割、ウェット1割)
便の様子に問題がなければ、ウェットフードの割合を30%程度に増やします。
さらにウェットフードの割合を増やし、目標とする割合(例:50%)に近づけます。
体調に変化がなければ、目標とする割合で固定し、継続します。



キャットフードを切り替えた際には、便の性状を必ずチェックしましょう
ウェットフードの正しい保存方法と、美味しく食べてもらう工夫
ウェットフードは水分が多いため、ドライフードと違って非常に傷みやすいのが特徴です。
- 保存の鉄則:
- 開封したウェットフードは、必ずラップをするか密閉容器に移し、冷蔵庫で保存してください。遅くとも翌日中(24時間以内)には使い切りましょう。
- 食べ残しはすぐに片付ける:
- 雑菌が繁殖しやすいため、ウェットフードの「置き餌」は絶対にNGです。
出して30分ほど経っても食べない場合は、可哀想ですが廃棄しましょう。
- 雑菌が繁殖しやすいため、ウェットフードの「置き餌」は絶対にNGです。
- 美味しく食べてもらう工夫:
- 冷蔵庫から出したての冷たいウェットフードは、香りが立たずに食いつきが悪いことがあります。
その場合は、電子レンジで数秒(5~10秒程度)温め、人肌程度にしてから与えると、香りが立って食いつきが良くなる事があります。
- 冷蔵庫から出したての冷たいウェットフードは、香りが立たずに食いつきが悪いことがあります。



保存にはこれが一番便利!
ウェットフード選びの注意点(一般食を選んではいけない理由)
ミックスフィーディングで使うウェットフードを選ぶ際、最も重要な注意点があります。
それは、「総合栄養食」と記載されたものを選ぶことです。
- 総合栄養食:
- それと水だけで、猫に必要な栄養素をバランス良く摂取できる「主食」。
- 一般食(または副食、おかずタイプ):
- 嗜好性を高めるための「おかず」や「おやつ」。これだけでは栄養が偏ってしまいます。
ドライフードの量を減らし、その分のカロリーをウェットフードで補うのがミックスフィーディングです。
ウェットフードを選ぶ際は、必ずパッケージを見て、「総合栄養食」と明記されていることを確認してください。



一般食でのミックスフィーディングはNGです
「ドライフードは歯石予防になる」は本当か?
「ウェットフードばかりだと歯石が心配だから、ドライフードも混ぜる」という考え方があります。
多くの猫はドライフードを丸呑みしていますし、噛んだとしても、歯の表面の歯垢を擦り取る効果は限定的です。
ミックスフィーディングを導入する際は、歯石予防の効果をドライフードに過度に期待せず、ウェットフードの割合を増やすことによる健康メリット(水分補給など)を優先しましょう。



歯磨きをして歯の健康を守りましょう
ミックスフィーディングの調整ポイント
ミックスフィーディングの基本的なカロリー計算と与え方は、どの年齢の猫でも共通です。
しかし、急成長する子猫期と、様々な機能が低下し始めるシニア期では、特に配慮すべき栄養の「質」と「バランス」が異なります。
ここでは、ノルウェージャンフォレストキャットの年齢別に、ミックスフィーディングを最適化するための調整ポイントを解説します。
【子猫期】高栄養要求を満たすための注意点
子猫期は、生涯の健康を左右する体の土台を作る最も重要な時期です。
ノルウェージャンフォレストキャットのような大型種は、成長に3~5年を要するため、特に栄養管理が重要になります。
- 「子猫用総合栄養食」を厳選する
- この時期は、成猫よりもはるかに多くのタンパク質、脂肪、カロリーを必要とします。
ミックスフィーディングで使うドライフードもウェットフードも、必ず「子猫用(キトン)」と記載された「総合栄養食」を選びましょう。
高タンパク質・高脂肪であることはもちろん、脳や目の発達に必要なDHAなどが配合されていると、なお良いでしょう。
- この時期は、成猫よりもはるかに多くのタンパク質、脂肪、カロリーを必要とします。
- カロリー計算をより厳密に行う
- 子猫は「食べた分だけ成長する」と言っても過言ではありません。
計算したDER(1日の必要カロリー)に基づき、カロリー不足にならないよう、正確な給与量を守ることが重要です。
体重増加に合わせて、DERはこまめ(最低でも月に1回)に再計算しましょう。
- 子猫は「食べた分だけ成長する」と言っても過言ではありません。
- 食事回数を多くする
- 子猫は一度にたくさんの量を食べることができません。
計算した1日の総給与量を、1日3回~5回の食事に分け、消化器官に負担をかけないように与えましょう。
- 子猫は一度にたくさんの量を食べることができません。


【シニア期】腎臓への配慮(低リンウェットの活用など)
7歳を過ぎてシニア期に入ると、活動量が減り、消化機能が衰え始めます。
特に、腎臓や関節への配慮が重要になってきます。
- 「シニア用総合栄養食」を選ぶ
- ドライフードもウェットフードも、「7歳以上」「シニア用」と記載されたものを選びましょう。
これらのフードは、シニア猫の健康維持に必要な栄養バランスに調整されています。
- ドライフードもウェットフードも、「7歳以上」「シニア用」と記載されたものを選びましょう。
- 腎臓ケアのため「低リン」のウェットフードを活用する
- シニア期の健康管理において、腎臓への負担を軽減することは最重要課題の一つです。
ウェットフードを選ぶ際は、水分補給効果に加えて、「リン」の含有量が低めに調整されている製品(例:リン0.8%以下など)を積極的に選ぶことで、ミックスフィーディングの健康効果をさらに高めることができます。
- シニア期の健康管理において、腎臓への負担を軽減することは最重要課題の一つです。
- 消化に優しく、嗜好性の高いウェットフードを活用する
- シニア猫は消化力が低下し、食欲も落ちがちです。
ミックスフィーディングは、消化に優しいウェットフードの割合を増やすことで、消化器系への負担を軽減し、同時に高い嗜好性で食欲を維持するという、シニア期に非常に有効な食事戦略となります。
- シニア猫は消化力が低下し、食欲も落ちがちです。


まとめ
ドライフードとウェットフードの両方の良いとこ取りをするミックスフィーディングは、
- 泌尿器リスクを、水分補給によって効果的に低減
- 肥満リスクを、満足感を高めながら管理
- 毛玉リスクを、便通をスムーズにすることで補助する
という、ノルウェージャンフォレストキャットが抱えやすい3大リスクに、まとめてアプローチできる理にかなった食事戦略です。
毎日のカロリー計算や、ウェットフードの管理には、少しの手間がかかるかもしれません。
しかし、その「少しの手間」という「小さな投資」が、将来愛猫が病気になった時にかかる「大きな医療費」や「愛猫の苦痛」を回避できる可能性を高めてくれます。
この記事でご紹介した自動計算ツールや、具体的なステップを参考に、まずは「1日の食事のうち、4分の1だけウェットフードにしてみる」といった小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
